物件内には試着室がある。以前は洋服屋さんだったのだろうか?店内は長い間使われていなかったからか、埃っぽくて、くすんだ雰囲気。本当にここで飲食店を開けるのだろうかと不安になった。根岸に目をやると、メジャーで店内の色々な場所を測ってはノートに書き込んでいる。続いて、壁を叩いたり、床をドンドンと踏みつけたり。ないやら確認しているようだ。
「根岸、ここマジで飲食店になる?」
「大丈夫。問題ない。それより玉ちゃんのアドバイス通り、作りたいお店のイメージ写真は集めたかい?見せてくれよ」
見学を終え、駐車場に戻る。気分は朝のワクワクから不安へ急降下している。ただ、根岸は学生時代から裏切ったことはない。信じるしかない。